1.シール印刷の方式
シール印刷には様々な方式があります。印刷機の違いについて主に考慮すべきは、適した部数、コスト、品質についての差異です。
1.凸版印刷
いわゆるグーテンベルクの印刷機と同じ原理の印刷方式で、シール印刷の代表的なものです。絵柄が凸状になっている金属版を使って印刷します。版が平らなもの(平圧式)、円筒状のもの(円圧式)があります。現在では、シール以外の印刷で凸版印刷を使う機会はほとんどなくなりましたが、シール印刷には、まだ凸版のものが多数使われています。
粘着ラベルの印刷、打抜き、カス取り、ラミネート加工などを同時あるいは連続して行なう機械のことをシール印刷機と言いますが、広く普及している平圧シール印刷機は凸版印刷方式です。
凸版印刷のメリットは、なんといっても安価なことです。ただ、もとになる版が金属ですから平アミやグラデーションなどの階調表現には向いていません。そういった特性から、訂正貼りシールのように文字を中心としたものやマークのような、1色・2色の印刷によく用いられています。
2.オフセット印刷
シールに限らず、チラシやパンフレットなど商用印刷物に多く用いられています。シールに使用する場合も写真やグラデーションなど高精細な印刷を行うことができます。一方で1000部から5000部程度の比較的少部数の印刷では凸版にくらべかなり高額となってしまいます。
3.オンデマンド印刷
大きく分けるとレーザー式とインクジェット式がありますが、いずれも少部数への対応を意識した印刷方式です。一般的にはインクジェットは1〜10部程度、レーザーは数百部程度に適した方式と言えます。いわゆるシール印刷では抜き型と呼ばれる刃型を作成し、シールの形状に抜いていくのですが、オンデマンドの場合にはカッティングマシンという機械で1枚ずつ自由な形に切り抜いていきます。
4.フレキソ印刷
凸版印刷の一種で、ゴム、樹脂などの弾性のある凸版を用い、インキを直接版から被印刷物へ転移させる印刷方式です。さまざまな対象へ直接印刷できること、VOC(揮発性有機化合物)排出量が少ないインク(水性、もしくはUVフレキソインク)を使用するため、環境に優しいことが特長に挙げられます。
従来は印刷品質に問題があり、ダンボールなど限られたものへの印刷方式として知られていましたが、近年の技術革新により高精細な印刷品質を実現、環境への優位性もあり、最近では非常に注目されている印刷方式です。
アメリカでは非常に普及していて、シール印刷の8割以上がフレキソ印刷なのだそうです。 |